映画やビデオの感想メモ3

掲示板や日記で殴り書きしたものです。(^^;

ありがとう (9点) 2006年11月25日劇場公開

阪神・淡路大震災の実話を映画化した「ありがとう」を観てきました。いやはや冒頭の震災映像は圧巻で背筋が凍えましたよ。無残に崩壊していく建物の映像や体内の奥を震撼させるド迫力の大音響が、震災当時の様子を生々しく伝えています。

私自信は震災を体験していませんが、当時の被災地の様子や震災の怖さを少しは理解できたように思えます。命の大切さを痛感させられました。犠牲となった多数の人々の命が今日の教訓となっていることを忘れてはいけないでしょう。

崩壊や火災によるライフラインの寸断と救助活動が遅れ。極限状態に追い込まれ混乱して逃げ惑う人々。人それぞれの価値観の違いによる争い。焼け跡に呆然と立ち尽くす被災者達の無念が痛々しく伝わります。我が身をかまわず家族や友人を必死に救い出そうとする様子や、皆の力を結集して復興を成し遂げるシーンが心に響きます。

古市忠夫役の赤井英和の演技は決して上手くはないですが、内面で揺れ動く感情をダイレクトに吐き出しているので、小手先の芝居では味わえない現実味があります。あんな体当たり演技は彼にしか出来ないでしょう。彼の人間臭いずば抜けた個性が光りますね。まさにはまり役でした。あのどん底から這い上がる強固な意志の力を見せられると、崖っぷちに立たされても成せば成るという勇気が湧いてきます。あれは視聴者へ向けた激励のメッセージでしょう。

後半のプロゴルファーを目指すシーンでは、プロゴルファー猿を彷彿させる奇跡の連続。何か漫画みたいですが面白かったです。吉本の芸人が多く出てきたのも笑えました。やっぱ笑いも必要でしょうし…。忠夫の妻役の田中好子の迫真の演技やキャディー役の薬師丸ひろ子の個性も、人間ドラマのスパイスとなって飽きさせません。

本作は人間の心理をリアルに伝えた点で完成度が高く、あの涙と感動の物語「ALWAYS三丁目の夕日」に優るとも劣らない出来です。ぶっちゃけ日本映画史に残る傑作だと思います。本当に心に深く余韻が残りました。観て良かったです。

そして鑑賞後に少なからず生きる意味を考えさせられました。天災はいつ起きてもおかしくないのです。それによって生活が激変するのか予想も出来ませんが、本作が今までの人生を振り返るきっかけを与えてくれたのは確かですね。今は本心で素晴らしい映画を「ありがとう」と言いたいです。

DEATH NOTE デスノート the Last name (8点) 2006年11月3日劇場公開

「デスノート後編」を観てきました。これ凄い人気ですね。劇場は日曜ということもありめっちゃ混雑してました。実は前編をテレビ放送で観た時から先が気になっていたのです。本当に上手い宣伝するなぁと感心します。勿論、原作の単行本は未読ですが最後まで飽きずに楽しめましたよ。それに、この世界を100%楽しむには前編を視聴しておくべきです。というか必須です。

本作は死神が落としたデスノートを拾った夜神月(通称:キラ)が主人公となって、凶悪犯を粛清するホラーサスペンスです。そのノートに名前を書かれた人間は確実に死ぬという、一見すると単純なファンタジー設定に見えますが、実は奥の深い推理モノでめちゃくちゃ面白いです。緻密に計算されたトリックがミステリー好きの心を適度にくすぐって、堪らない内容になっています。

序盤は正義を気取っていたキラが、名探偵エルの登場によって自身を擁護する為に殺人をエスカレートさせていきます。ぶっちゃけ精神的に追い込まれたキラが暴走して泥沼に嵌っていくのですが、とにかく天才的な頭脳を持つキラとエルの巧妙な騙し合いが面白いです。怒涛の駆け引きで一転二転する衝撃のクライマックスも必見。藤原達也の迫真の演技が光ってました。

女性キャラでは、戸田恵梨香が演じる天然アイドル「ミサ」が、視聴者の脳内を麻痺させてくれます。見えそうで見えないミニスカートや足を露出させたきわどいチラリズムもグッド。予告でも流れていた緊縛監禁プレイが意外とエロかったのでマニア受けもいいかも。サブキャラではキラの妹役の満島ひかりが良い表情してました。でも、不自然な点も多々あります。病的なヲタクキャラに魅せる為とはいえ、エルのホラーメイクは濃ゆすぎだしエキストラ達の芝居も大げさで臭すぎる。

何気に身近な人を含めて多数の人が犠牲になっているのに、皆平然としながら話が進行するのは緊張感が欠落していて違和感ありますね。普通はもっと恐怖を感じるものでしょう。この世界が異常なファンタジーで構築されたエンターテイメントとして許容できるかどうかで評価が二分されるかも。故にストーリー重視の視聴者を満たすには少々力不足なのは否めません。私的には飽きさせないスピーディな展開に満足しましたが…。

手紙 (8点) 2006年11月3日劇場公開

弟の為に殺人を犯し無期懲役となった兄と、同じ家族というだけで社会的に排除される弟。彼らの波乱の人生を描いたヒューマンドラマです。原作が東野圭吾だけに重い話ながら心に響きます。

犯罪者の身内として不条理な差別に苦悩する弟を中心に痛々しく描かれるのですが、その袋小路から抜け出す鍵となるのが、運命に絶望し自堕落となっていた彼の支えとなり救おうとする関西弁の眼鏡っ娘。世の摂理に逆らって懸命に生きる芯の強い彼女を沢尻エリカが熱演しています。若妻役も見事にこなし多彩な表情で役者になりきる力量は、どこか工藤夕貴と似た印象を持ちました。彼女は今後もっと伸びるでしょうね。まぁ、わざとらしいあの関西弁も個性的なキャラを作る為には良かったのかも。(苦笑)

人目を避けて生きてきた不遇な弟を演じる山田孝之は、クールで暗い表情と馬鹿っぽい不慣れなお笑いパートという二つの顔を持っています。でも、はっきり言ってあのぎこちない漫才は引いてしまうでしょう。いくら新人のお笑いコンビと言う設定でもネタが寒すぎ。

そして、人は一人では生きられない…底辺から這い上がって来い…みたいな趣旨のさりげない社長の言葉も重いです。この助言が逃げてばかりいた彼への喝とエールになって運命を切り開いていくのですから。ラストシーンでは決して切り離せない絆で結ばれた、兄弟の複雑な思いと表情が見事に描かれていて感動を誘います。挿入歌として流れる小田和正の「言葉に出来ない」もマッチしていて良かったです。人の繋がりの大切さをひしひしと感じさせてくれる良作でしょう。

ただ、君を愛してる (7点) 2006年10月28日劇場公開

ん〜、最近視聴した「手紙」と比較するとシナリオや演出面では明らかに劣ります。ただ、本作の映像の神秘的な美しさに癒される人も多いのではないでしょうか。その点を考慮するとこういう作品もアリかなと思ったりします。私的には佳作ですね。主題歌は大塚愛の「恋愛写真」。正直言って彼女のバラード曲は飽きてきたけど、作品の雰囲気とは合ってるので及第点かな。

本作はちょっと引きこもりでカメラマニアの大学生と天真爛漫な眼鏡っ娘が繰り広げる純愛ストーリーです。話に特別なひねりは無く終始平坦なよくある展開が続くので、観る人によっては退屈に感じるかもしれませんね。又、終盤に急展開はあるものの特に胸が躍るシーンも無く強引に収束させた感じは否めません。ぶっちゃけ宮崎あおいファンをターゲットにした作品と断言してもいいぐらいです。シナリオの出来よりも彼女の幼さなく可愛らしい言動を楽しむべきでしょう。

おそらく無邪気な眼鏡っ娘「静流」を演じる宮崎あおいの可愛さに嵌れるかで評価が分かれるかと。私的にはあのポンコツ加減に良い意味でノックアウトされそうでした。しかし、彼女をあんなに幼く撮影できたのは驚きです。勿論、子供っぽさを全面に出した表情を作れる宮崎あおいの演技力は素晴らしいですが、彼女を小さく見せる為にダブダブの服を着せたり遠近感を利用する等、カメラワークに工夫が見受けられます。あと、美麗で気品のある風景に癒されました。決して映像に派手さは無いですが何故か心が潤いますね。

静流の「好きな人が好きな人を好きになりたかっただけ」という臭いフレーズは何故か余韻が残りますね。生涯ただ一度のキスと恋を心のフィルム刻み込んだ彼女の一途な想いに感動。まぁ、ストーリー的にはパッとしないですが、ロリータ風眼鏡っ娘に萌えられる方なら無問題でしょう。(笑) で、ドーナツクッキーってどこで売ってんの? 無性に食べてみたい…。

虹の女神 Rainbow Song (8点) 2006年10月28日劇場公開

結論としては、なかなかの良作かと。派手な演出は無いですが個々の絡みが嵌って飽きずに楽しめました。消極的で優柔不断な「智也」と前向きに夢を追いかける「あおい」が織り成す、悲しくも一風変わった青春ラブストーリー。大学の自主制作映画の撮影現場での偶然の出会いから、徐々に運命のレールが交差していく二人。彼らがどのように生きてきたのか、その過程を小出しで淡々と描いていく手法は新鮮で、騒然とした撮影現場の雰囲気もリアルに伝わってきました。

又、思いのすれ違いから起きる悲劇の結末を心に浸透させながら、大切な絆の重さに気付かせるエンディング曲も素晴らしいです。流すタイミングも奇麗で巧みに計算された構成の上手さが光ります。途中で流れるジュピターのアレンジも終末思想を織り交ぜた本作の雰囲気にマッチしていて渋いです。

市原隼人が演じる「智也」は飽きれるぐらい不器用で鈍感です。彼のせいで一線を越えられない二人の微妙な関係に終始ヤキモキさせられます。逆に上野樹里が演じる「あおい」は勝気で殺伐としたヒロインと見事にシンクロしています。何気ない表情にも繊細な演技力を感じさせます。彼女は「出口のない海」の時のような純真な妹役よりも、今作のような快活なキャラの方が似合ってますね。

あと、妹役の蒼井優のピュアな演技も良かったです。関係ないですがイオンカードのCMは初々しくてイイですね。何気なくばりばり癒されると思います。(笑) ただ、曖昧な智也に回顧させる為とはいえ、相田翔子との絡みは蛇足気味じゃないかと思います。それと、酒井若菜の秋田弁?あの鈍りはわざとらしいかな。個人的には鈴木亜美の出番をもっと増やして欲しかった。映画初出演とはいえ、ちょい役で使うには勿体無いでしょう。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア (9点)

ワーナーマイカルで公開されていたので観てきました。これビデオでは観てますが、やっぱ劇場は迫力ありますね。これで500円ならお得かな。とにかく懐かしい。傑作は何年経っても色あせません。劇場版ガンダムシリーズの最高峰と言われるだけのパワーはありますね。

本作のストーリーは比較的分かり易いですし、SF的な専門用語満載の設定やインテリ的な言動をする大人っぽいキャラ、スリリングなバトルシーンの演出等、どれをとってもガンダムシリーズを代表する完成度で記憶に残る作品です。

見所はアムロとシャアの最終決戦に尽きるでしょう。アムロのニューガンダムとシャアのサザビーの戦闘はめっちゃかっこいい。ミサイルの網をかいくぐりながら行われる、モビルスーツ(MS)同士の空中戦は大迫力で圧巻の一言。個人的に初代ガンダムの流れを受け継ぐシンプルなMSは好きです。

もう、ファンネル(脳波によって制御できる兵器)とか核ミサイル使いまくり。ちなみにアムロやシャアのようなニュータイプと言われる人種は、このファンネルを自在に操ってピンポイントでビームの雨を降らせたり、ビームバリアで防御したりします。

ただ、1988年の作品だけに画質の古臭さは否めません。フィルムが劣化しているのかノイズでちらつくシーンも見受けられました。キャラデザも簡素で近年の綺麗に処理された線画に慣れていると粗さが目立ちます。宇宙戦艦ヤマトに近い感じかな。

特に女性キャラが可愛くないのは痛い。今時のオタク層を満足させる萌え燃料は無きに等しいです。キャラデザが良くなるのはF91ぐらいから? でも、アムロの恋人であるチェーンはもっと可愛く描いて欲しかった。まぁ、幼い言動をするツインテール少女クェスの下着姿とかサービスショットもありますが、全体的に女性キャラの個性がイマイチでショボいです。

何気にシリーズで設定が引き継がれているので本作だけ観ても面白さは半減します。少なくとも「めぐりあい宇宙編」あたりを観ていないと、ララァとの繋がりが意味不明で理解できないかも。

あと、エンディングで流れるTM NETWORKの「BEYOND THE TIME」は今聴いても味があるね。ただ、スタッフロールだけでなく映像が欲しかった。

Ζガンダム劇場版 (8点)

劇場版の機動戦士Ζガンダム3部作をレンタルしてきました。久しぶりにガンダム観たから面白かった。完全2Dの旧作カットが殆どなので映像の古臭さは隠せませんが、新たにCG処理された3Dムービーが挿入されてたり新鮮なシーンもあります。まぁ、急にリアルな映像に変わるのでちと違和感ありましたが演出上は上手く繋がっていたかと。やっぱZガンダムの空中戦は最高ですな。MS同士の格闘戦の迫力は無印ガンダムに軍配が上がりますが、爽快なスピード感に関してはZガンダムが上です。私的にはやめられない中毒性あったけど、3本一気に視聴したから疲れた。

劇場版AIR (8点)

今更ながらレンタルして視聴しました。いたる標準ロリ絵に見られる独特の崩れ方が消失して、がぉがぉ呟いてた観鈴ちんが普通の女の子に変貌してます。非現実要素が濃い原作からオタク色を排除して、万人受けするアニメに仕上げた感じですね。原作のような感動は無かったですが90分でまとめたにしては上手いと思います。テンション控え目なのが気になりますが、変に原作に拘りがなければ普通に楽しめる作品になっているかと。


HOME】 【MENU