■千と千尋の神隠し ☆評価:10
[公開日] 2001年07月20日
[上映時間] 125分
[製作国] 日本
[配給会社] 東宝
[監督・原作・脚本]宮崎 駿
[音楽] 久石 譲
[製作] スタジオジブリ
[登場キャラクターと声の出演]
キャラクター | 説明 | 声 |
荻野千尋(おぎのちひろ) | 10才の少女で主人公 | 柊瑠美(ひいらぎるみ) |
荻野明夫 | 38才、千尋の父親 | 内藤剛志(ないとうたかし) |
荻野悠子 | 35才、千尋の母 | 沢口靖子(さわぐちやすこ) |
湯婆婆(ユバーバ) | 年齢不詳、巨頭の老女 | 夏木マリ(なつきまり) |
ハク | 12才くらいの白面の少年 | 入野自由(いりのみゆう) |
坊 | 湯婆婆の息子、巨大な赤ん坊 | 神木隆之介 |
釜爺(カマジイ) | ボイラー室を切り盛りする六本腕の老人 | 菅原文太(すがわらぶんた) |
[感想]
まいった! さすがアニメ界の巨匠、宮崎駿監督!
その名に恥じないすばらしい作品です。
とにかく、シナリオ、グラフィック、サウンド共に秀逸、現時点の日本アニメ界の頂点に位置
する冒険ファンタジーアニメーションの傑作です。
まず、ストーリー設定ですが、これが実に斬新です。10才の少女が神様やお化けが通う、
不思議な町に迷い込むという設定で物語は始まります。内気だった少女が、そこでのさま
ざまな冒険や出会いにより、大切な人を助けたいという想いや、生きようという希望にめざ
めていく。
この冒険を個性溢れるキャラクター達がいっそう盛り上げてくれる、楽しいストーリーです。
特に、湯婆婆の個性が際立っていてこの物語には不可欠なキャラクターです。
テーマ自体は、4年前のもののけ姫のように難しくなく、わかりやすいストーリ設定になって
いるので、見終わった後にここちよい、安らぎを与えてくれる作品に仕上がっています。
次に、グラフィックですが驚愕のクオリティーを誇っています。これだけのクオリティーをだす
為には、かなりの技術、発想、労力が必要とされたでしょう。このジブリだから成し得た、
神業的な技術には関心させられました。特に、ドロドロした液体の表現や食事のシーン等
の自然な描画には驚きました。遂に、4年前に公開されたもののけ姫を超えるクオリティー
のアニメが出現したということでしょう。
音楽ですが、久石譲さんです。今回もすばらしいです。音質もデジタル化により迫力が倍増
しています。効果音が腹に心地よくひびいています。これは、映画館だから体感できる音響
効果です。家庭用のテレビとは迫力が違います。
まあ、自然にマッチする音を作らせたら、この人の右にでる人はいないでしょう。
ぜひ、この人にゲームミュージックを作ってほしいものです。
総評としては、不満点はないのですが、ちょっと気になった点をあげると、エンディング時の
主題歌が流れている最中に、その後のストーリーの絵を表示してほしかったぐらいでしょう。
まあ、その後のことは観客に連想してもらうという、製作者側のねらいがあるのでしょう。
この作品はお金を出しただけの価値は十分とれる名作だと思います。
+++update:2001/07/23++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
■大河の一滴 ☆評価:6
[公開日] 2001年09月01日
[上映時間] 125分
[製作国] 日本
[配給会社] 東宝
[原作]五木 寛之 [脚本]新藤兼人 [監督]神山 征二郎 [音楽]加古 隆
[製作]「大河の一滴」製作委員会
[CAST]
配役 | 説明 | 出演 |
小椋雪子 | 本作品のヒロイン | 安田成美 |
榎本昌治 | 雪子の幼馴染 | 渡部篤郎 |
ニコライ・アルテミコフ | ロシア人ミュージシャン | セルゲイ・ナカリャコフ |
小椋麻理江 | 雪子の母 | 賠償美津子 |
小椋伸一郎 | 雪子の父 | 三國連太郎 |
[内容]
主人公・雪子は故郷・金沢を離れ東京でブティックに勤める独身女性。雪子がロシア旅行
で知り合ったロシア人青年ニコライが“トランペット奏者”としての成功を夢見て来日、雪子と
再会するところから物語は始まる。心踊る雪子のもとに金沢で暮らす父親が倒れたとの一報
が届く。父親は末期の肝臓ガンであった…。ロシアそして金沢を舞台に、余命幾ばくもない父
親とその娘の親子の絆を軸に、ヒロインをめぐる愛の物語が展開されていく。
[感想]
原作が五木寛之の大ベストセラーエッセイという、宣伝文句がついていたので話の種に
鑑賞してみました。とはいっても、原作は読んだことがないのですが...とほほ
(エッセイというジャンルは何故か読もうと思ったことがないので)
まず率直な感想を言うと、少々物足りない消化不良気味な感じを受けました。
ある意味、原作がエッセイということで、物語性よりメッセージ色の強い内容となってしまう
のは仕方が無いのかもしれないが、そこは脚本や演出の力で、もう少しストーリーに厚みを
もたせて欲しかったです。まあ、その点を映像の力で補うことができるかにかかっていたのは
確かで、不満の残る内容だったのは否めないです。
やはり、エッセイの映画化には無理があったのかな?
では、関心した場面はと言うと、ニコライのトランペット演奏はさすがにうまいです。
世界NO.1のトランペッターが演じているだけはあるかなという感じです。
伸一郎の死を目前にした時の心境の変化の演技も渋い!三國連太郎の巧みな演技力が
光っていました。
この作品のテーマは、生と死そして愛です。そこには、今こそ日本人が見失ってしまった
大事なものをふりかえる時だという、メッセージがこめられています。
考えてみれば、人は皆、大河の一滴に違いない。その一滴がどれほどのことができるかは、
人それぞれの信念にかかっているのかもしれません。
一人の人間としてのプライドを持って死ぬまでの時間を生きて、そして、生きることの喜びを
じっくり味わおうと、感じさせてくれる作品です。
総評としては、平凡な作品というところでしょうか。
映像にでてくるロシア等の景色は綺麗なので、その点に関しては良かったです。
+++update:2001/09/01++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++