大学を卒業したものの教員採用試験に落ち、その上好きな女の子にまで振られてしまった主人公・桜乃樹。傷心の彼がとった行動は、生々しい思い出の残る都会から故郷・芽吹野に帰り、引き篭もることだった。そんな彼に突如ふってわいたのは、女学園での臨時教師の話だった。
自分の進むべき道があやふやな為、先の見えない不安感に襲われたり目標を失って現実逃避する、主人公やヒロイン達の成長が描かれています。本当の自分を覆い隠し葛藤する様子や時間を無駄に浪費することに苦悩する等、ネガティブな鬱描写も綿密に計算され、綺麗事では片付けられない人間ドラマが展開されます。
個々の内面描写が非常に丁寧なだけに心を揺さぶる痛いシーンもありますが、本作は決して鬱物語ではありません。そこには他人や自分を傷つけながら精神的に成長していく青春群像劇が描かれているのです。思春期特有の初々しい言動にも好感が持てますね。さまざまな出来事によって経験を積み、不器用だけど前向きに生きようと努力する姿が感動を呼びます。こっ恥ずかしいラブラブ会話も適度に織り交ぜてあるので、そこそこ萌え要素も補充可能です。
確かにシナリオは秀逸で、各ヒロインごとに修羅場もきっちり用意されていて十分に楽しめたのですが、テキストが小説っぽくてやや冗長に感じます。個人的にはもう少しコンパクトにまとめた感動物語の方が好み。キャラの個性も若干弱いかな。悠や和のインパクトは突出してるけど、他の二人を含めてサブキャラはもっと頑張って欲しかった。
本作は非現実的な要素が殆どない正統派純愛モノで、人間臭い弱さが全面に描かれ修羅場もマッタリ繰り返されるので、奇跡とかファンタジー演出、特に過度な萌えや笑いを期待する人には退屈かも。それに個別ルートへの分岐が序盤にあり、それ以降は他のヒロインとの絡みが殆ど無い状態になるのも寂しい。
ぶっちゃけ日常会話の面白みに欠けます。テキストに読者を飽きさせない仕掛けみたいなものがあれば、更に高評価に繋がったかもしれません。イベント演出が凝ってるのが救いかな。
人生とは運命に逆らうこと。誰もが何度も壁にぶち当たり挫折しながら、それを乗り越えて生きているものだと思います。その中には奇跡とか突発イベントでフラグが立つこともあるでしょう。かといって、そんなゲームのような不思議展開は一生に何度もあるものではありません。そのチャンスに逃避せず挑んだ結果がコンプに繋がらなくても悔いはないでしょう。苦い思い出では記憶に残るのですから。本作はそんなことを考えてしまう物語でした。
選択肢で分岐するオーソドックスなADVで動作も特に問題なし。選択肢は少ないので、ヒロイン個々のシナリオを分岐させる為だけに用意されたに等しい。既読スキップ速度は普通。バックログはホイール対応で音声の再生も可能。ディスクレス起動可。
鑑賞モードによるとイベントCGは差分を含まず458枚。その内、えっちCGは42枚。重複したCGも多少混じってますが、これは驚愕の枚数ですね。
OPムービーは新海技術の結晶。綺麗な光の演出とアニメの融合は、エロゲレベルを超越して完成度高すぎw。特にヒロインが空を飛行するシーンが爽快。それに加えて、各ヒロインに別々のEDアニメを用意する大盤振る舞い。こちらもグリグリ動くが、新海クオリティと比べると粗さが目立つのはご愛嬌。スタッフロールのみより断然余韻が残るので感傷に浸るのに最適。
イベントCGの美麗さも秀逸。淡い色彩と溶け込んだ際立つ光源処理や、丁寧に塗られた緻密な背景もさることながら、全体的に高クオリティの出来栄え。背景スクロールや雪の演出も物語を盛り上げる。まさに、絵買いのminoriのレッテルに偽り無し。
立ち絵やイベントCGは、目パチと口パク装備。やっぱ、ロリ体型のキャラデザは食指を刺激しますのう。悠の紅頬やふくれた顔、八重歯が可愛い。プレイ中は電脳空間からメタミ○ホスより強力な幼分を検出。ぷにっとした粘度の高い原料が直接萌え神経に流れ込み、脳内に残留したけど健康に問題なし。(笑)
全30曲。その内、ボーカル入りは5曲。OP曲は萌えソングとして秀逸だけど他に突出した曲は無し。全体的に青春のイメージにマッチして、心に響く綺麗なピアノ曲を中心に高品質な構成。特に終盤はBGMの相乗効果もあって痛い展開が盛り上がる。やっぱ「follow heart」は落ち着きますね。ちなみにヒロイン達が歌う4曲はこの曲をアレンジしてボーカルを入れたものです。
緊迫した場面ではBGMが止まりボイスだけで進行します。これは、じっくり会話を聞かせるのに効果的でした。ボイスは和を筆頭に、声優さんの感情のこもった熱演によって非常に臨場感が出てますね。
──ボーカル曲 紹介──
「春 〜feel coming spring〜」 歌:原田ひとみ
OPテーマ。透明感のある歌声と明るい萌えソングが映像に融合して爽快。
「笑顔の約束」 歌:鷹月さくら
悠EDテーマ。スローテンポにしっとりしたロリ声をミックス。
「Be Catch!」 歌:桜井美鈴
和EDテーマ。OP曲には及ばないけど澄んだ声はイイね。
「Engagement」 歌:まきいずみ
ゆづきEDテーマ。これも、しっとりと和ませてくれます。
「素敵な未来を」 歌:白石杏
智夏EDテーマ。如何にも声優特有の萌え声って感じ。
濃度は純愛系にしては頑張ってますね。テキストは丁寧で尺も長く、ラブラブなシーンが豊富に挿入されているので、まったりとイチャイチャするのが好きな人には良いかも。また、艶やかな塗りが良い雰囲気を醸し出して場を彩っています。絶叫っぽい喘ぎ声も臨場感あります。どのヒロインも破瓜のシーンではかなり痛がりますが、基本的に和姦なので陵辱が嫌いな人も安心。
主人公が鈍感で優柔不断。それにヘタレ気味なのはお約束・・・orz
◆桜乃悠(さくらの ゆう) CV:鷹月さくら (75%)
樹の従姉妹で教え子。甘えん坊で脳天気な元気少女で炉利指数高いッス。喜怒哀楽が激しい無邪気な性格が適度に萌えツボを刺激。彼女の笑顔と初々しい反応で御飯3杯はイケる。
◆藤倉和(ふじくら なごみ) CV:桜井美鈴 (65%)
クラスの委員長で優等生の眼鏡っ娘。普段はツンツンして可愛げがないけど、時々優しい一面が見え隠れしたり、内面に儚い脆さを抱えている。でも、言葉で主人公をいたぶれるのは彼女だけ。(笑)
◆楓ゆづき(かえで ゆづき) CV:まきいづみ (70%)
控え目でおっとりしたお嬢様。表情が乏しくボソボソっと喋るけど、すぐ顔が真っ赤になる照れ屋さん。モジモジした雰囲気がツボに嵌る、まきいずみワールドをご堪能あれ。ちなみに昼御飯はハンバーガー10個。ギャ○曽根も真っ青?(笑)
◆篠宮智夏(しのみや ちか) CV:白石杏 (70%)
樹の幼馴染で保健の先生。やっぱ、モジモジ娘は萌えますのう。モザイク入りの怪しげな食べ物?をご馳走するなんて智夏タン鬼畜でつw。他のヒロインのようにシナリオにドロドロした感じは無いけど、綺麗な締めくくりは好き。
悠にハァハァできたらGJ。
自分を変えることに怯えたり、弱気な自分を嫌悪したりする鬱展開もありますが、田舎の学園を舞台にした後味の良い成長物語に仕上がっていて好感が持てました。キャラの内面描写も丁寧で読み応えありましたね。まさに、人生の選択肢ともなる出会いがそこにありました。
マッタリした学園物でテキスト量も膨大ですが、シナリオ構成が上手なので飽きずに読破できました。あまり冗長に感じなかったのも好印象。もう少しコンパクトにして欲しかった気もしますが許せる範囲です。というか個人的には白波瀬を攻略したかったけどw。