異形都市インガノック。そこは、恐るべき幻想生物たちが姿を顕し、都市を豊かたらしめる蒸気機械文明さえもが、歪み、時に異形と化して人々を襲った。都市下層は、今日も、地上に存在しえないはずの異形と奇病、異常なまでに発達した暴力的な機関技術が満ちあふれて──。巡回医師ギーは、今日も都市を歩く。そして、出会う。ひとりは、少女。その名はキーア。人が忘れた“笑顔”を絶やさぬ娘。もうひとりは、影。その名は《奇械》ポルシオン。人ならざる鋼の影。インガノックただひとつの希望に──
ミステリアスな要素たっぷり。全体的にシリアスで暗い印象だが面白い。幻想世界を形作る詩的な表現は冗長だが思ったより読み易い。幻想生物とか非人間的な生物で侵食された異質な世界は飽きない。特に斬新な設定とかは無いけど、途中で止められない中毒性はあるね。気付かないうちに現象数式で脳細胞を書き換えられているのかもしれないがw。
何だか最初は断片的な情報しか与えられず、難解で意味不明だった。宗教っぽく呪文のように繰り返し読まされるテキストもちとストレスを感じた。しかも、主人公がボソボソっとしか喋らないので日常会話も弾まない。視点が固定されていないのと、ヒロインが個性的な点が救いかな。
戦闘シーンはRPG的というかワンパターンすぎる。同じテキストの繰り返しで新鮮味は薄い。馬鹿の一つ覚えのように繰り返すギーの決め台詞は「・・・遅い」。どれだけボキャ貧なんだよって感じもしないではない。まぁ、絶対勝つように出来ているので安心感はあるけど、緊張感みたいなのは弱い。過剰な燃えを期待すると拍子抜けする。多分、合わない人には退屈。
主人公のギーは、現象数式という回復魔法みたいなものを使って、肉体を修復できる。まさに漫画の世界だな。「ブラック・ジャック」とか「スーパードクターK」のパクリかと思ったら、掌の光で治癒させる驚愕設定。彼等の数段上を行く超人だったり。(苦笑)
ただ、エンディングがスッキリしないのは残念。ハッピーエンドとは言えない不思議な終幕はちと説明不足。想像の世界が多すぎてその後が非常に気になる。全体的にはテキストに矛盾があったりご都合主義な点もあるけど、良質なおとぎ話なのは変わらない。
オーソドックスだが軽快で安定している。全12章で構成される一本道のADV。選択肢は少ないが、各章の中にTipsのように補足説明を聞いたり、該当キャラの視点で心の声を聞くモードがある。バックログはホイール対応で音声再生可。ディスクレス起動可。
鑑賞モードによるとイベントCGは差分を含めず57枚。その内エロCGは13枚。CG枚数の少なさが気になる。バトルシーンのショボい絵は頂けない。圧倒的に燃えが不足して消化不良。章と章の間に挿入されるムービーはいい味出している。映写機で投影したような細工が渋い。
立ち絵はぷにロリ絵がいい感じ。独自センスを感じさせる淡い彩色。サブキャラは単色でアッサリ塗ったラフ画チックな描写。この一見すると手抜きっぽい作風は、最近のエロゲーでは見慣れない。ちと粗さが目立つ漫画のような簡素な描き方は新鮮だが、リアルな絵に慣れているとアッサリしすぎて物足りないかも。反面、背景は緻密に描かれていて、キャラが浮いているようなアンバランスなギャップが幻想的で面白い。
全18曲。その内ヴォーカル入りは2曲。インストが2曲。曲数は少なめだがBGM、ヴォーカル曲共に素晴らしい。シリアスな世界観とマッチした、もの悲しいホラーサウンドとか、癒し系の曲を中心に高品質。特に日常で聴ける「穏やかな時」が落ち着く。ただ、フルボイスではなくパートボイスなのは寂しい。急に音声がなくなったりするのは残念。それと、アティはちと棒読みっぽい感じ。あの低い声は何かドライすぎて違和感があった。
──ヴォーカル曲──
「Adenium
」 歌:Rita
OPテーマ。繊細かつパワフルなヴォーカルがかっこいい壮大な良曲。
「IKOVE」 歌:Rita
EDテーマ。幻想的で切ないスローバラード。
黒ぎぬの幼女を脱がせろ!!<マテ
あぁ・・・ソフ倫規制ですか・・・(ぇ
おまけ程度でエロくないけどヒロイン視点の温もりがある。幻想的な美しさっていうのか。
結局、キーアたんとは姦通したのか?(爆)
ギーは強いけど無口で笑いはない。何だか使い捨てのサブキャラが多い気が…。
◆ キーア CV:かわしまりの (75%)
ギーのすぐ近くに寄り添い、彼の生きる姿を見つめ続ける炉利っ娘。自分の命を助けたギーに対して、静かに無償の好意を捧げ続ける。表情が豊かで誰へも笑顔を向けることができる。
◆ アティ CV:野月まひる (70%)
幻想の異人種《猫虎》の特徴が発現した娘。人間とは異なる黄金瞳を右目に持つ。肉体に幾らかの数秘機関を埋め込み、荒事の場に身を置いている。ぷくっとふくれた黒猫が萌える。
◆ ルアハ CV:青山ゆかり (50%)
“自動人形”と人々から呼ばれる、鋼鉄の娘。不完全なる機関人間。他の人間たちにはほぼ無反応だが、キーアとは言葉を交わさずとも意思疎通ができるらしく、よく言うことを聞く。
キーアたん萌え!
異質な世界観はかなり人を選びそう。でも、ファンタジー世界のシナリオは面白いし、ロリキャラの微笑みに癒されたので概ね満足。惜しむらくはエンディングかな。もっと後味を良くして戦闘シーンを強化したら超良作になったかも。