全2話構成のキネティックノベル。内容は常識を逸脱した無敵超人の女子高生が大活躍する学園探偵活劇。シリアスと言うより終始コメディ調の雰囲気が漂う。ぶっちゃけ超ご都合主義の力技で強引に収束させちまった感じ。それでも、きっちりミステリーとしてまとまってるのが上手い。第一話はドタバタコメディ色が強いけど、第二話は本格的な緊張感を味わえました。
語り部分は一昔前のミステリーを彷彿させるテキストですが、テンポ良く話が進むので読み易いです。特にかれんと木葉の馬鹿な掛け合いが笑えるね。ボケ担当のかれんとツッコミ担当の木葉。この凸凹コンビの息はピッタリです。
知的な木葉の語りはミステリー特有の雰囲気を醸し出して良いですね。普段のエロ親父的思考とのギャップがまた笑えます。でも本作では圧倒的にかれんが目立ちます。劣勢になっても問答無用で偉そうな態度を貫き通す。その超人的な身体能力を使って難解な事は力でねじ伏せる。それが「かれんイズム」の真骨頂。推理の答えを暴力で奪取する強引な捜査方法は、もう笑うしかない。
かれんが壁を突っ走るとか不死身設定はやりすぎ。どんな超人やねん! この無茶苦茶な論理を許容することが本作を楽しむ前提条件かも。(苦笑) かなり強引だけど予想外の結末が良かったな。無理矢理ハッピーエンドで収束させた感じだけど、後味スッキリなのでOK。
選択肢無しで一本道。画面全体にテキスト表示されるビジュアルノベル形式で特に問題無し。バックログはホイール対応。スキップは未使用。
鑑賞モードでは差分抜きで37枚。と言っても差分は少なく殆どが一枚絵。イベント絵は精細で光の処理も綺麗だし、いい雰囲気出してますね。キャラは、きっちり描き分けが出来ていて塗りも丁寧な好みの作画です。微妙なパンチラも香ばしい味を出してました。あと、ピチピチのボンテージ服を着用した怪盗もエロかっこいいね。少女漫画風のイラストも良かった。
かれんと木葉が抱き合ったりする、絶妙な百合セクハラ描写があるだけに、全年齢版特有の露出規制が勿体無いね。特に、かれんの身体測定中の下着シーンが修正されて、巨乳の露出がカットされたのは残念。やっぱ、パンチラまでが限界だったのかw。かれんと木葉の入浴シーンもあるけど、バストトップはきっちり隠されてるし……。(笑)
まぁ、幼少時代の木葉でご飯3杯おかわりしたからいいけどな。<マテ
あと、日常会話を盛り上げる為に、立ち絵の表情をもっと変化させて欲しかった。かなり差分が少ないように思います。それに、この差分にも問題がありますね。例えば誰かを殴るシーンで、同じ体勢で腕だけニョキっと伸びて相手にヒットするとか、かなり違和感のある絵がありました。画面に向かって貴様は妖怪かよ!って突っ込んだわw。OPムービーが無いのも残念。
全19曲。その内ボーカル入りが2曲。効果音とかBGMのインパクトは弱く、特に記憶には残っていません。日常にマッチした賑やかな曲からピアノ中心の繊細な曲まで、バラエティ豊かに使い分けられていますね。それなりにドタバタコメディと合っていたかと。
お気に入りの曲は「もう一度・・・」。シンプルなピアノのフレーズが良かった。
主題歌は甲高いアニメ声が気になりました。特にOP曲は電波系で聴き難い。まぁ、合わなくもないけど、もっとポップ系でも良かったような気がします。逆にED曲は聴き易いね。声質はかなり作ってあるけど、メロディとしてはハッピーエンドにマッチしてました。あと、鑑賞モードは一覧表示されないのが使い難いですね。
他キャラに比べて、四之宮タンの活躍が少なかったのは残念。
◆門崎かれん (かんざき かれん) <60%>
主人公。16歳の女子高生。お馬鹿で自己中全開のタカビーお嬢様。超人的な身体能力を誇る迷探偵。
◆橘 木葉 (たちばな このは) <60%>
もう一人の主人公。気弱で引っ込み思案な眼鏡っ娘。かれんの助手として行動するが運動神経ゼロ。ドモった喋り方と挙動不審な表情が面白い。眼鏡を外すと美少女に変身。くまさんパンツを愛用。
◆四之宮 茜 (しのみや あかね) <60%>
クラスメイトで明るいスポーツ万能少女。
◆姫宮 密 (ひめみや みつ) <60%>
クラス委員長で気が強いツンデレ娘。水玉ぱんちゅとツインテールがトレードマーク。
超展開、超ご都合主義全開で面白かった。本格推理マニアには敬遠されそうですが、探偵コメディが好きなら十分楽しめる良作だと思います。ある種の既視感を覚えるのですが、ミスリードを誘う伏線の張り方とか上手いですね。あと、キャラ立ちが良いので音声を入れて欲しかった。キネティックノベル特有のシンプルな演出を多少は補完できたと思うだけに残念。
尚、ネタバレになるので付属の設定資料集は、読破後に見ることをお勧めします。何はともあれ、探偵活劇としては十分面白いので是非とも続編を出して欲しいところです。いや、マジでこのまま埋もれさせるのは勿体無い作品だと思うので……。