ブランド | ステージ☆なな | 評価 | 6 |
ジャンル | デジタルノベル | 発売日 | 2005/08/02 |
動作OS | Win98/2000/Me/XP | 価格 | ── |
HDD容量 | 110MB以上 | メディア | インターネット |
原画 | ぴんさいず、司ゆうき | BGM | PCM |
シナリオ | 片岡とも | 音声 | 有り |
モード | 音楽鑑賞 | プレイ時間 | 約1時間 |
備考 | 全年齢対象同人ソフト。無料DL可能。 CD-ROM版はショップにて販売、価格500円。 |
◆はじめに |
本作は、ねこねこソフトで有名な片岡とも氏のシナリオということでプレイしました。 |
◆突撃結果 |
重たい話だが何とも言えない深い味わい。 |
◆あらすじ |
先が見えない長期入院。連れて行かれたのは二人だけの部屋だった。一体何がしたいのか? あやふやな気持ちのまま病院を抜け出した二人は…。 |
◆シナリオ |
死をテーマにした悲しい冬物語。自らの運命を悟り、避けられない死と真正面から向き合う強い心を持ったヒロイン「セツミ」と、予期せぬ宣告に戸惑いながらも逃げ道を模索し救いを求める主人公。彼らの心境を自然で無駄を省いた簡潔な言葉を連ねることで表現しています。又、説明文が少なくサラッと読めてしまいます。プレイ時間が1時間の短編のわりには、よく出来ているかと。 素直に行動できないセツミ。その何に対しても無関心に拒絶し続ける投げやりな言動の裏には、死を拒否し受け入れたくないという行き場の無い憤りと、一途な願いが込められているようにも思えます。今、何が必要かを考えて導き出した答えと悲しい結末。深くかかわらずに接する二人の終着点では、奇跡のハッピーエンドという展開を敢えて避けることで、後味良く余韻が残る作品にまとまっています。 敢えて深く練り込まずにシンプルを追求したチャレンジ精神は賞賛できます。話に意外性がない直球勝負なので先は読めますが、難解な表現がない分かりやすいテキストですから、読み手のイメージ次第では何通りもの物語が生まれるのではないでしょうか。繊細でシンプルな表現を多用するライターさんの持ち味は十分に発揮できているかと。 死に対する受け止め方は人それぞれで、お互いの心の内は分からない。全てを諦め悟りに達したセツミと現実味が湧かない主人公。反比例する二人が選んだ行き当たりばったりの逃避行。心の奥に潜む生への拘りと死への絶望が混ざり合う中で導き出した答えに、セツミは癒されたのでしょうか? きっと女の子として生まれた証を、形として残すことで救われたんだと思います。あの最後の笑顔は癒されました。 「ナルキッソス」。そこにはセツミのたった一度の我がまま、生き抜いた思い出が刻まれているのではないでしょうか。安易に死を選択する者への警告と抵抗。それは主人公に受け継がれ新たなメッセージとなり、他の人々へと伝えられる。この物語には現在の荒んだ社会に対しての批判が込められているようにも思えます。 |
◆システム |
選択肢無しの一本道のノベル。ツールはNScripterで大きな問題は無し。マウスホイール対応バックログ装備。スキップは使わなかったです。テキストは映画の字幕のように2行しか表示されません。ちとフォントが小さくて見難いけど。 |
◆グラフィック |
ヒロインの挿絵は3枚ぐらいかな。どれも幻想的で儚げな感じが出て良かったです。その他の立ち絵やイベントCGは皆無。あとは全て背景。CGは上下がすっぽり切れたシネマスクリーン表示。何気に表示部分が小さいです。作業時間削減の為なのか、映画を意識したイメージ作りなのか、何か不思議な感じ。派手な演出はないので脳内補完が前提です。 |
◆サウンド |
全12曲。問題なく良い出来です。作品のイメージを壊さないシンプルなBGMが中心で、もの悲しく、しっとりした癒し系の曲を揃えています。ねこねこソフト関連のアレンジも作品にマッチ。ピアノの旋律が心地良いです。 ボイスは・・・いつもの雪希さん真面目モードです。(笑) 特に違和感はなく無難な感じですね。効果音も自然でした。ボイス無しもイメージしてみましたが、それほど大差はないかなと思ったり。でもボイス有りがデフォになったこのご時世では、無しだと殺風景な印象が残るかも。何気にテキストだけでキャラのイメージを表現するには小説のように説明が必要じゃないかと。それを補完する手段としてボイスがあるので、この辺は賛否両論かも。 ──ボーカル曲紹介── 『ここにいる』 歌:瑞田茉莉 ねこねこソフトの「朱-Aka-」のBGMに似た、しっとりした渋めのバラード。低音ボーカルとバイオリンの音色が落ち着いて心地良い。 『Narcissu』 歌:REM イントロが神語のED曲を彷彿させる、しっとりした純和風のメロディ。ボーカルは相変わらずぎこちないですが、ミステリアスな楽曲に澄んだ声質がマッチして綺麗。何気に作品の想いが詰まった曲だけにエンディングで流して欲しかったな。 |
◆Hシーン |
全年齢対象なので無し。セツミのタオルビキニはちょっとえっちぃか? |
◆キャラ ( )内の数値は萌え度 |
■セツミ CV:綾川りの (30%) あの儚げな表情が全て。あれはロリ入ってるよ。(笑) |
◆総評 |
死という重いテーマのわりには後味は良い。強烈な泣きや感動はないが、希望の光を求め感性のまま行動する二人に感銘を受ける。暗く悲しい世界観に、ねこねこソフトの「銀色」を彷彿させる簡素な表現がマッチ。まさにシンプル・イズ・ベスト。 マンネリ化した事実に目をそらし肥大化した作品で溢れかえるゲーム業界の行き詰まりは明白です。ユーザーの舌が肥え、高品質なビジュアルに慣れきった現状からの脱却は、開発側にとって至上命題でしょう。多大な開発費をかけた大作だけが正解ではない。本作はコスト削減の切り札「デジタルノベル」という未知の可能性への雛形に成りえるかもしれません。 (Javaを無効にしていると表示できません) update:2005/08/08 |
シナリオ | システム | CG | 音楽 | 萌え | 死生観 |
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70 | 75 | 50 | 85 | 30 | 85 |