夏の燈火

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ブランド

Circle Mebius

評価

ジャンル

恋愛ADV

発売日

2004/06/06

HDD

400MB以上

価格

2500円

原画

鷲宮光流、杉野ミハル

メディア

CD-ROM

シナリオ

るーすぼーい、江本あやえもん

音声

無し

モード

CG、音楽鑑賞

プレイ時間

約11時間

備考

同人ソフト

あらすじ

その村は千年以上昔に張られた結界に囲まれていた。結界に守護されて、村の山々には多くの妖怪や霊、神々が今だなお生きながらえていた。そんな中、俺達は巡り会った……

シナリオ

私的には佳葉シナリオがお気に入りですが、湶シナリオも良くできてますね。ストーリー自体はオーソドックスで特筆すべき点はありませんが、独自の雰囲気によってストレスが溜まらず心地良く読破できる点は評価できるでしょう。まぁ、急に死んだり生き返ったり、ご都合主義な点もあるのですが、伝奇ファンタジーのお約束ということで許せる範囲内です。

人間と妖怪の共存を謳った世界観は、もののけ姫を彷彿させますね。死生観をテーマに傲慢な人々の意志を諭し、自然の摂理や命の大切さについて語っています。そこには、理屈では解っていても残された者に宿る拭えない憎しみによって、感情のコントロールを失い暴走する人間の避けられない悲運が描かれています。ただ、演出が地味で敵対する緊迫感が薄く盛り上がりに欠けるのは否めません。もっと戦闘を含めた燃え展開を見たかったです。これが同人の限界なのかもしれませんが、熱中するように誘導して欲しかった。何気に敵の親玉が萌えキャラなのは、ケモノ属性のユーザーを引き込もうとしたのでしょうか?(笑)

成長した佳葉のシナリオは、るーすぼーい氏が担当しています。いつも笑顔でボケボケな佳葉に隠された不遇な真実が感動を増幅させます。感情表現を上手く利用してましたね。真面目な作品なのに加え、デビュー作だというのもあるのでしょうが、彼の十八番である巧妙な伏線によるどんでん返しの破壊力が不発で、「A Profile」や「車輪の国」と比べるとインパクトが弱く霞んでしまうのは否めません。先に本作をプレイしていれば、そんなに気にならなかったのかもしれませんが、やはり見劣りしてしまいます。

設定の上手さから感動できたのは佳葉シナリオですが、死生観に関しては江本氏が担当した湶シナリオの方が丁寧で興味深い話でした。ただ、終始驚愕の展開が無く平凡な為、印象に残り難いですね。でも、ハラハラせずに田舎の雰囲気にまったり浸りたい人には、逆に心地良いのかもしれません。クリア後の後味も良好です。命の尊さに関するメッセージがこめられたこの物語は、娯楽に徹した上記2作とは一線を画していて、深く考えさせられる内容でした。

システム

ツールはADVRUN。特に大きな問題は無し。小町恋歌で使われた吉里吉里より多少痒いところに手が届くので新鮮。オーソドックスなADVでフォントも大きくて読みやすいが、選択肢がメッセージウインドウ内に表示されるのは頂けない。既読スキップは次の選択肢までCGやテキストの表示なしでジャンプできる。バックログはホイール対応だがフォントが小さくて読みにくい。一度選んだ選択肢は色が変化する。キーボード対応。ディスクレス起動可。セーブデータごとにプレイ時間が表示される。

グラフィック

差分を除いてイベントCGは14枚(その内エロCG6枚)。小町恋歌と同じくCG枚数が少なすぎますが、背景は商業に匹敵するクオリティで綺麗に描かれています。田舎の景色が和みます。キャラデザは好みの絵柄です。全キャラ和服で女の子も可愛く描かれています。ただ、立ち絵とイベントCGで絵柄に差があるので、バランス的にはいまいちかな。OPムービーもミステリアスで独自の雰囲気を醸し出しています。
どうでもいいけど、 ヤマンバ オトメ婆さんの立ち絵濃ゆすぎ。(笑)

サウンド

全32曲。小町恋歌の曲に似てますが音質が劣化してるような気がします。でも、個人的にはかなり好きです。和風の曲調は神語を彷彿させますね。ピアノ中心で切なくしっとりした癒し系の曲が心地良いです。ボイスが無いのは寂しいですが、蝉の鳴き声とか田舎を感じさせる効果音はいい感じ。

──お気に入り曲──
「すすき オルゴールVer」…シンプルでかなり好き。やっぱオルゴールは癒されます。
「かげろう」…ピアノ曲ですが落ち着きます。
「いつかのこい、はるのうれい」…AIRの夏影に似た和み系の曲。
「夏燈し」歌:Soe…OPテーマ。しっとりした幻想的な曲。鑑賞モードに歌詞が表示される。

Hシーン

ごく普通のシチュエーションで当然薄い。攻略ヒロインは二人で終盤に一回づつ。勿論、エロボイスも効果音も汁描写もありません。このブランドのHシーンがオマケ程度なのはお約束ですから、過度な期待は禁物です。(苦笑) 何気に佳葉は不安定ですね。構図によっては巨乳に見えてしまうw。結局、メインは実妹との近親相姦ですか? 純真で初々しい兄弟愛がいいね。

キャラ

萌えキャラは、幼少期の湶、白児たん、玉藻前の三人かな。(ん?
でも、攻略キャラが二人ってのは寂しいです。美津波を加えた三人にして欲しかったな。高飛車な美津波を屈服させたい。(爆) 主人公は特にヘタレでもなく普通。サブキャラもそれなりに揃ってますが、若い娘に節操がない玲司や素直なロリキャラの白児たん等、いまいちインパクトが弱いので、もっと個性的なキャラを追加して欲しかった。

佳葉(かのは) 70%
通称:妖怪まったり娘。小食で身体が弱い少女。殆ど家から出ない。
ほのぼのした天然ちゃんで和む。

湶(いずみ) 70%
主人公の妹で巫女のお手伝いをしている。明るく元気で家事をそつなくこなす。
身長の成長が遅く、かなり小柄。主人公を「お兄ちゃん♪」と呼ぶ。

美津波(みずは) 60%
水鏡神社に住み着く大酒飲みな少女。古めかしい言葉遣いで気丈に振舞う。
つーか、言葉長すぎ。お経のような長文炸裂!

総評

ありきたりな設定で突出したものが無いだけに地味に感じますが、和風の癒し系音楽をバックに、のどかな田舎の自然に触れられるのは気持ちいいですね。全体的にシリアスで特に笑える会話も怒涛の展開も無いマッタリとしたテキストですが、シナリオに込められたメッセージには考えさせられるものがありました。シンプルですが心地良く感動できて後味も良好。惜しむらくは心に焼きつく演出が無かったこと。綺麗にまとまったシナリオは良いですがメリハリは必要です。

パッケージの謳い文句「満足度保障付き!」「真の感動を求める人以外は買わないで下さい」は、ちと過大広告のような気がします。JAROからマークされなければ良いのですが…。(笑) でも、感動系を作り続けるサークルは珍しいので、心のチェックリストに載せました。

(JavaScript有効時)

夏の燈火

シナリオ

システム

CG

音楽

萌え

エロ

感動

75

75

75

80

70

20

75



Update 2006/08/27  Copyright © yowamax