話は単純です。要は女子校生達が殴りあって勝者を決定する格闘大会が開催される訳です。そこに神の力とか巫女による儀式等、ややこしい人外伝奇設定を盛り込んで難解に見せかけています。(苦笑) 単純に言えばキャットファイトなんですが、そこはガチンコバトルなんで、敵が倒れようが徹底的にぶちのめします。マジで容赦のない鬼畜展開ですよ。ぶっちゃけ生死を彷徨うまでボコボコにされる様子が熱いです。
本作は「カーニバル・デイ」と「カーニバル・イヴ」の2本を収録。同じ時間軸に異なる場所で行われた、ルールやキャラが全く違うバトルを描いています。どちらかと言えば、テキストが読み易い「カーニバル・イヴ」の方が私は好きです。
「カーニバル・デイ」の方は、何だかゴチャゴチャして堅苦しいテキストでダレやすく感じました。ちと日本語の使い方も変です。あの独自の言い回しに慣れるまで取っ付き難いかも。誤字脱字も目立つしね。説明も漠然としているので、いまいち状況設定が把握し難いです。獣の本能みたいなモノを表現しているのかな。まぁ、思考や行動説明に短い単語を連ねて話を進行させる手法は、慣れてくると違和感は軽減されますが。
全体的な雰囲気は「空の境界」と同じミステリアスな印象ですね。シナリオ自体は練り込み不足でもっと捻りが欲しいところです。しかも、中二病的なノリが永遠と続くかなり人を選ぶテキストです。ある意味、珍味のような不思議な食感を味わえますね。
淡々と進行する戦闘シーンは荒削りで大雑把な反面、回りくどい難解な説明が無く読み易いです。この圧倒的スピード感と迫力を演出するテキストは、独自の緊張感を創造していて凄まじいセンスを感じます。もし、この燃えテキストのみの破壊力をスカウターで測定したら、「虚淵玄」や「奈須きのこ」に匹敵するんじゃないかな。勿論、本来のシナリオの面白さや、緻密な伏線設定等のトータルバランスは足元にも及ばないですが。
選択肢無しで一本道。ツールは吉里吉里。画面全体にテキスト表示されるビジュアルノベル形式で特に問題無し。バックログはホイール対応。スキップは未使用。
鑑賞モードでは全て一枚絵で換算。カーニバル・イヴが52枚、カーニバル・デイが75枚。背景は取り込み画像を加工したような感じのものが多いですが、薄暗い彩色が異色な伝奇設定とマッチして、独自のシリアス感を演出しています。いや〜、イベントCGに某世紀末アニメのような濃ゆい雰囲気が漂っていて、めっちゃかっこいいわ。OPムービーもミステリアスな感じが充満して良いです。
結構、癖のあるキャラデザだね。どこかで見たような気がしたので調べてみたら、絵師はTVアニメ「true
tears」のキャラクター原案を担当した人だった。何気に納得っす。あのツリ目にショートヘアの乃絵と三桜巴が微妙に似てるし、不可思議でぶっ壊れた思考も同じ匂いが漂うね
やっぱ、格闘モノだけに女でも濃ゆいキャラばかりだね。特に「穣」は見た目が漢だしw。でも、どのキャラもしっかり描き分けが出来ている点は好印象。見間違えることはないっす。
まぁ、俺はののタンの…ロリふりかけでご飯3杯いけるが(ぉ
気になるのは流血描写。あれだけ殴り合ってるのに立ち絵やイベントCGの差分が無く、美少女の容姿を保ったままだったり。テキストはかなりエグイ描写でこっ酷くヤっちまってるだけに違和感あります。例えば、ガーゼや包帯で全体を覆われてる筈なのに見た目に変化無しとか。やっぱ、テキストとCGがシンクロしないと、多少なりとも迫力が減退するわ。
全39曲。その内ボーカル入りが2曲。何気にレベル高いわ。悲壮感が漂うBGMとか、古風なメロディにロックを融合したような、一風変わった音楽がいいですね。それに、戦闘シーンの曲が、かっこ良すぎ。とにかくバトルを盛り上げるには最適で素晴らしい。
──ヴォーカル曲紹介──
「宵闇」 歌:天乙准花
OPテーマ。どこか民俗音楽を幻想させる音色が心地良く新鮮。
「闘姫神楽」 歌:ミカヅキカゲリ
EDテーマ。ノリノリのポップチューン。
短編のわりにはキャラが多いね。主人公は見た目が可愛らしい美少女だったのが救いかな。お気に入りは、カーニバル・イヴだと「巴」と「零」。カーニバル・デイだと「七綺」と「のの」。特に巴の和服から見え隠れする太股がいい感じに扇情的でエロティック。パンチラサービスを期待してたけど、ノーパンだから無理か。どのキャラもキレて暴走すると顔が豹変するのが面白いね。
怒涛の燃え展開。中二病燃料を投下しまくった圧巻の戦闘描写は一見の価値あり。まぁ、シナリオで特筆すべき点はそれだけですが、個人的には満足しています。CG、音楽もよくマッチしてバランス的には優れた作品かと。何気にこのライターさんの過去作にも興味が出てきました。この鬼才を武器にした新作に期待したいですね。これだから同人は侮れないっす。とにかく燃え重視のバトルマニア向けの逸品。
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