単彩綺劫

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ブランド

470in

評価

ジャンル

伝奇ストーリーノベル

発売日

2005/08/14

HDD

530MB以上

価格

700円

原画

上総ゆお

メディア

CD-ROM

シナリオ

音声

無し

モード

無し

プレイ時間

約13時間

備考

全年齢対象同人ソフト

あらすじ

十一年前、吸血鬼に両親が殺された。故に魔女は、刀を振るいてそれに報いる。単彩の記憶に惑いながら、壊れた弱者が踊りだす。

シナリオ

両親を殺された女の子が吸血鬼に復讐する伝奇ノベル。丹念に練りこまれたシナリオは中毒性ありますね。丁寧かつ精細な状況描写で緻密な世界観を構築する手法が素晴らしい。ただ、会話中心のヌルいADVに慣れている私には冗長というか、難解な説明が繰り返されてわずらわしく感じる場面もありました。月姫みたいに専門用語を多用していないのでまだ読みやすい方なんでしょうけど。テキストだけで読者を釘付けにする燃え戦闘は、虚淵玄、奈須きのこ、両巨匠に通じるオーラを感じさせますね。

主人公が女の子っていう設定も新鮮です。性的を含めた虐待を受けた過去シーンではCGこそないですが、「一つ一つたっぷり時間をかけて挿れられた」とかテキストで無機質に表現されているのが、何か想像力をかきたててリアルです。あと、終盤で達樹のバトルシーンが省略されていたのが勿体無い。

システム

選択肢無しのビジュアルノベル形式。ツールは吉里吉里で特に大きな問題は無し。スキップ速度は普通。バックログはホイール対応。ジョイパッド対応。ディスクレス起動可。鑑賞モードが皆無なのは残念。誤字脱字もちらほら。

グラフィック

差分を除いてイベントCGが25枚程度、背景CGが44枚程度。背景は上下が切れたワイドスクリーン表示でシンプルですが同人らしい感じが出てます。昼夜の区別がなかったり若干粗さが目立つものも見受けられますが、無機質な感じを醸し出す薄暗いモノクロCGはいい味出してますね。イベントCGはかなりインパクトのある綺麗な仕上がりで、ここぞという場面で盛り上げてくれます。戦闘シーンではカットインを効果的に使用して、斬撃の目まぐるしい動きを演出しています。負傷して流れる血の色が生々しくリアル。

立ち絵はパターンが少なく表情の変化が乏しいのは寂しいですが出来は良いです。萌えって感じじゃないですが綺麗に整った可愛さはありますね。微妙にロリ混入の結唯は美味です。OPムービーは幻想的なオーラが出まくった美麗な映像で、同人とは思えないクオリティです。

サウンド

全22曲。その内ボーカル曲が1曲。突出したものはないですが悪くないです。日常に流れるおだやかな和み系や賑やかな曲、おどろおどろしいシリアスな曲まで一通り揃っているので、結構飽きずに聴けます。特にバトルシーンで流れるロックっぽい曲がかっこよくてお気に入り。達樹の戦闘シーンなんか鳥肌立ちます。本作では黒背景に無音進行でテキストを垂れ流す寂しい場面が多々あるのですが、その分、急に鳴り出す効果音はインパクトありますね。

──ボーカル曲──
『0mni-RUiNe』歌:monet…OPテーマ。ジャングル風のカッコイイ楽曲に、しっとりと憂いを帯びたクリアボーカルが自然に溶け込んでいて心地いい。

キャラ

キャラ立ち良好。少ないキャラを活かしてます。つーか、達樹は強すぎ!
流石に世界の強い人ランキングTOP20入りの腐れ外道だけはある。

達樹 「しょうがねー漢というモノを教えてやんよ」
結唯 「達樹さんってばさ、あたしとハァハァしたいだけじゃないのさ」
達樹 「柊咲は無毛で未初潮なんだから、しょうがねーだろ」
柊咲 「達樹の変態!」
椅俟 「フユは私が貰うもん♪」
柊咲 「イオリが勝手に決めないで!まだ百合は嫌!」

御咲・K・柊咲[みさき-Klar-ふゆ] (60%)
本作の主人公。達樹の元で修行する無口でクールな18歳の魔女。
壊れた左目には一秒前後の動きが映る。この先見の魔眼が最大の武器。
申し訳程度にしか膨らんでいないって…見た目は結構なボリューム感。(笑)

綯代 結唯[なえしろ ゆい] (65%)
20歳の留年高校三年生とは思えない幼児体型の女の子。
低身長だが明朗快活な姐御肌。なだらかなバディライン…(;´Д`)

絢篠 椅俟[あやしの いおり] (60%)
柊咲の数少ない親友。純真無垢で子供っぽい性格。顔が赤くなった時がイイ。

総評

このボリュームで定価700円という脅威のコストパフォーマンス。読み応えもあって十分楽しめました。吸血鬼が登場する燃え戦闘系シリアス伝奇ノベルだけあって雰囲気は月姫と被ります。キャラのクールな性格は小説「空の境界」に酷似していますね。多少なりとも影響は受けているのではないでしょうか。又、冗長なのに先が気になって引き込まれる展開は、奈須きのこ氏に匹敵する筆力を感じました。

シリアスでドロドロした展開ばかりでなく、個性的なキャラの突飛な言動で息抜きもさせてくれます。そして、終盤の真相暴露からの見事などんでん返しと白熱の燃え戦闘で満腹。基本的にノベルだけあってテキストが主体で派手な演出はありませんが、後味も良く同人ノベルとしては良作に値する完成度でしょう。

とにかく読ませるテキストセンスは同人の枠を逸脱するレベルに達していると実感しました。基本的にシリアス長編小説が好きな人向けで、万人にお勧めできる作品ではありません。しかも、月姫のような萌え要素は皆無に近いので地味に感じるかも。まぁ、萌えとは対極にあるので読者層は限定されるかと。私的にはもっと評価されても良さそうな奇作だと思うのですが…。

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単彩綺劫

シナリオ

システム

CG

音楽

萌え

燃え

価格

85

70

75

75

60

85

100



Update 2006/10/08  Copyright © yowamax