忘れたいほど悲しい記憶を持った人々が訪れる、白い街。その街で記憶を封じる職業、『封士』を生業にする青年、黒目。彼のもとに客として「ラ」という少女が訪れる。彼らの日常と、街を訪れる人々との出会い、そして小さな秘密が浮き彫りになる。
主人公は心に残った辛く悲しい記憶を浄化させる力を持つ、癒し能力者みたいな存在。他人の記憶を自由に消せる超常設定だが、奥の深いシナリオで小まめな伏線の仕込みは健在。終盤に明かされる真相も読み応え十分。会話中心でテンポ良く進行して読みやすく、中だるみは感じなかった。飽きさせない構成はお見事。
メッセージウインドウにテキストが表示されるオーソドックスなADV形式。選択肢無しの一本道。ツールは吉里吉里で特に問題なし。ジョイパッド対応。バックログはホイール対応。でも、セーブポイントから再開するとバックログがクリアされる。分岐無しノベルでこの仕様は残念。
鑑賞モードによるとイベントCGは17枚。全て一枚絵で同人クオリティ。古風な建物や列車内の写真等の背景素材は取り込みだが、芸術的なセンスで情緒ある雰囲気を醸し出している。立ち絵はシンプルで粗さが目立つ。雰囲気は掴めるものの表情の変化が乏しく無機質。OPムービーはフリーとは思えないクオリティで秀逸。幻想的な演出がナイス。雪の演出もイイ。
鑑賞モードがないのは残念。一応、アーカイブされているのはMIDIで9曲、Oggで2曲。癒し系の曲が中心で睡眠効果抜群。(笑) もの悲しいオルゴール曲も耳に心地良い。扉が開く音とか効果音も上手く使われていて臨場感出てる。
──ヴォーカル曲──
「記憶の雪」 歌:みちか
OPテーマ。スローテンポでしっとり歌われる癒し系の曲。
「アオゾラ」 歌:みちか
EDテーマ。伝奇モノに合いそうな曲。
主人公はクール。イーリャとの絡みをもっと見たかった気がする。
◆ ラ (50%)
記憶を消す為に黒目のもとへ訪れた少女。17歳には見えないロリっ娘。(笑)
名前短すぎw。世間知らずでぶっきらぼうな口調や雰囲気が後作の「ミメイ」と似てるかも。
萌えやロリに過大な期待は出来ないが、優しく癒してくれるシナリオは驚きの仕掛けが施されていて十分に楽しめた。記憶によって成り立つ人の繋がりを遮断することは、因果関係を壊すことになり双方に何らかの後遺症が残るということかな。後味も良好でライトノベル感覚でサクッと楽しめるお手軽さがイイ。
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