WHITE ALBUM2 〜introductory chapter〜

HOME


ブランド

Leaf

評価

80

ジャンル

学園ラブコメディ

発売日

2010/03/26

HDD

3.3GB以上

価格

5800円

原画

なかむらたけし

メディア

DVD-ROM

シナリオ

丸戸史明with企画屋

音声

有り

モード

CG、音楽鑑賞

プレイ時間

約10時間

備考

初回特典:書き下ろしノベル

シナリオ

初めに述べておきますが、本作は序章にすぎません。それなりに区切りはついていますが、まだ続きである本編が控えています。ぶっちゃけ分割販売です。ボリューム的にも短編ドラマ風味ですね。それでも、話は十分面白かったので満足できました。

主人公と二人のヒロイン達が共に惹かれあう、ドロドロした三角関係を描いています。でも、この主人公が鈍感でテンプレート的な生真面目クンだったのが救いでしょうか。しかも、頭が良く理論武装による饒舌さを発揮する食わせ者。心では落ち込んでも表向きはネガティブな鬱憤を感じさせない役者だったりします。その点は、単なる鬱ゲーと一線を画して新鮮でした。

ある意味、残酷で心に沁みる結末。まるで、以前流行した三角関係を扱ったラブコメの一場面を観ているようです。この昔のドラマでもよく見かけた非現実的な展開を、昨今の読者の心を惹きつけるように上手く表現していますね。卓越したテキストセンスが光ります。

イベントは学園祭とか温泉旅行とかお約束のものですが、ライブイベントは本番までの努力や苦労が盛り込まれていて十分に読み応えがありました。ただ、ヒロイン達が過去から引きずっている悩み等を、もっと掘り下げて表現していれば、更に感情移入できたと思います。

まとめると、内容に仕掛けとしての新鮮さは無かったですが、一気に読破してしまう中毒性は感じられました。個人的には、ボーイッシュな「依緒」に、もっと絡んできて欲しかったので、本編での巻き返しに期待したいところです。

システム

選択肢無しの一本道。端的に言えば読むだけのノベルです。2周すればCGは全て埋まります。2周目は既読スキップを使って1時間以内で読み終わりました。一部別視点から見たエピソードが追加されていて、ヒロイン達の心情を詳しく把握できるようになっています。

読むだけなんで動作に大きな問題は感じなかったですが、既読スキップ速度は、ちと遅いかな。それと、CGの切り替えが多くてよく止まります。バックログはホイール対応で音声も再生できますが、一覧表示されないのは使いにくいです。あと、テキストが自動進行する演出は、読むスピードを固定されるので、ちとウザかった。ディスクレス不可も残念。

グラフィック

鑑賞モードでは差分抜きで27枚。その内、えっちぃ絵が3枚。ボリュームを考慮しても、商業でミドルプライスなんだから、もっとCGを追加して欲しかった。何気に3GB超の容量をどこで消費しているのか疑問だったりします。おそらく雪の演出とかアニメなんだろうけど・・・。

背景は美麗だし全体的にクオリティは高いです。特に雪が舞う演出が最高に綺麗でした。あと、終盤に挿入されたアニメは、ロボットみたいな動きが笑えます。あそこで新海誠ムービーでも流してれば完璧だったのにね。それは贅沢と言うものでしょうか。

キャラデザは、ちと古臭さが漂う昔の美少女漫画チック。一部崩れた絵もあって少なくとも萌え全盛の今風ではないですね。全体的にカクカクした感じ。特にアゴの尖り具合は違和感がありました。もうちっと丸みを入れて幼く描いて欲しかったな。(ぇ

あと、OPムービーの出来は普通ですが、雪とか雨等を盛り込んでよく作品の雰囲気を掴んでいたと思います。

サウンド

全30曲。その内、ヴォーカル入りが7曲。どの曲も聴き込んでしまうぐらいの良曲。BGMは静かに奏でる綺麗なピアノ曲が良いですね。修羅場で流れる「言葉にできない想い」は、心に沁みる痛さを増幅させてくれます。恋愛ドラマにマッチした切ないメロディの「綺麗で儚いもの」もお気に入り。

──ヴォーカル曲──
届かない恋」 歌:上原れな
OPテーマ。ミディアムテンポの切ない曲。本作の根幹と言える曲名と歌詞が冬物語にマッチ。

Twinkle Snow」 歌:津田朱里
EDテーマ。雪が舞う夜空にピッタリの切ないバラード。本作随一の完成度です。

After All-綴る想い-」 歌:上原れな
挿入歌。流れるタイミングが絶妙でした。少し暗い独自のメロディラインに乗せて綴られる想いは、希望を願う儚さが見え隠れしますね。

深愛」 歌:小木曽雪菜
雪菜がカラオケで歌う曲。紅白でも流れた名曲を使うあたりに、Leafの選曲センスを垣間見た気がします。パンチの効いたオリジナルにはかなわないけど、雪菜のヴォーカルは、また違った味わいがありますね。

WHITE ALBUM Live at Campus Fes」 歌:小木曽雪菜
学園ライブ1曲目。ミディアムテンポの落ち着いた曲。盛り上がりは弱いけど、じっくり聴き込むには最適かも。

SOUND OF DESTINY Live at Campus Fes」 歌:小木曽雪菜
学園ライブ2曲目。明るくノリがいいポップソング。最後のギターソロはバンドの真骨頂。

届かない恋 Live at Campus Fes」 歌:小木曽雪菜
学園ライブ3曲目。どうしてこうなっちゃうんだろう・・・ヒロイン達の想いを集約。

Hシーン

終盤に1回のみ。ドラマの演出や痛さを刻み込む上でも必要不可欠ですが超激薄です。初々しい言動や破瓜の絵はありますが、ありふれた構図や3枚しかないCG枚数にやっつけ感があり、エロ萌えの欠片さえありません。まぁ、アニメ化やコンシューマー移植は、やりやすいかも。

キャラ

お気に入りは学園のアイドルで三度の飯より歌が好きな「雪菜」かな。明るくて庶民的な性格もグッド。和装メイドも似合ってた。「かずさ」は、ピアノが上手くていつも強気でクールな不良娘。表向きは弱さを見せず気丈に振舞う、典型的なクーデレかも。

総評

良作。一昔前のトレンディドラマの学園版って感じでしょうか。ネタ自体に目新しさは無いのに、自然な三角関係や精細に描かれた心情描写に目が離せません。まんまと丸戸マジックに嵌った感じですね。まぁ、ドロドロした痛い展開もありますが、激鬱ってほどでも無いのでご安心を。

これほどスムーズに余韻を刻み込めたのは、美麗な演出やライターさんの手腕の賜物でしょう。序章でこれだけ面白いんだから、本編への期待は高まるばかりです。丸戸さんの実績から予測しても、おそらく失速することは無いと思います。間違いなく完結編も購入するでしょう。

(JavaScript有効時)

WHITE ALBUM2 〜introductory chapter〜

シナリオ

システム

CG

音楽

萌え

エロ

純愛

演出

80

70

80

90

65

10

80

85



Update 2010/05/16  Copyright © yowamax